2019年9月20日にグランドオープン「大丸心斎橋店 北館」その本館中央に位置するエスカレータ空間(1F〜10F)を貫く、幅4m×高さ50mの大型インスタレーション「D-WALL」。80年以上もの長きに渡って、心斎橋店のアイコンであったヴォーリズ建築の天井や柱に施されたステンドグラスの造形美を、彫刻と映像の融合により再構築した。
ヴォーリズの幾何学模様から連続するパターンを抽出し、構成された彫刻は、エスカレータの移動軸に合わせて奥行きと開口率を設計することで、体験者の視線の流れに沿った光の反射を生み出す。
その背面に重ねる映像は、彫刻と一体となることでかつてのヴォーリズ模様を色鮮やかに蘇えらせる。また、本館を彩る装飾や季節ごとの植栽のイメージや、その時々の天候と連動しながら変化する色彩と陰影が、彫刻に有機的な光の表情を与え、常に移ろいゆく大丸の「今」を表現する。
伝統を継承した普遍的な物の強さと、現代技術を用いた可変的な光の儚さ。この対照的な概念の融合によって生まれた本作品は「継承・創造・発信」という新生大丸のコンセプトを体現している。これまで移動するためにあったエスカレーター空間を、お客様をもてなす体験空間へと変容させ、新生大丸でしか表現し得ない独自の空間を生み出した。